シベリウスについて

「今日11時10分まえに16羽の白鳥を見た。人生最大の感動の一つ! 神よ、なんという美しさ! 白鳥たちは長いあいだ私の頭上を旋回していた。そして輝く銀のリボンのように、太陽の光のかすみの中に消えていった。声は鶴のような木管楽器の類だが、トレモロがない。まぎれもなくサリュソフォンの音色だが、白鳥の声はトランペットに近い。小さな子供の泣き声を思い起こさせる低い繰り返し。自然の神秘と人生の憂愁! 第5交響曲のフィナーレのテーマ、トランペットのレガート‥‥長いあいだ真の感動から遠ざかっていた私に、これは起こるべきであった。こうして今日、私は聖なる殿堂にいるのだ。1915年4月21日。」

シベリウス写真
〈フィンランド大使館提供〉

1904年ヘルシンキを離れて田園地帯のヤルヴェンパーに移り、トゥースラ湖の近くに建てた家「アイノラ」で後半生を過ごし、作曲に専念したシベリウス。北欧フィンランドの自然、森と湖にインスピレーションを求め、シェーンベルクやストラヴィンスキーなどに代表される当時の新しい芸術思潮とは一線を画した彼独自の音楽は、清冽で、至高な境地を湛える逸品です。

風景シベリウスは1865年フィンランドに生まれ1957年に没した、同国を代表する大作曲家です。1917年のフィンランド独立に際して人々の愛国心を鼓舞した交響詩「フィンランディア」や交響曲第2番をはじめ、チャイコフスキーのものと並んで今日最も頻繁に演奏されるヴァイオリン協奏曲、ベートヴェン以降に書かれた最高のものとさえ評される7つの交響曲や、フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」に基づいた「トゥオネラの白鳥」や「タピオラ」などの多くの交響詩など、数多くの傑作を残しました。これらの作品はいずれもフィンランドの心と自然を最もよく伝えるものとして、今日も世界中で愛聴されています。

Jean Sibelius 1865-1957 (シベリウス博物館ホームページより)
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